「最近の若い男は妻子の為に働くのは馬鹿らしいと思って結婚しないんだよ」と、会社の飲み会で三十歳独身の息子を持つ方が私に話しかけました。ご子息はダイビングにいそしんでいて給与のほとんどをその趣味の為に使い、彼の周りの友人も似たような価値観との事。そんな男性をパートナーとして選んだら、家計についてお互いが合意することは一大事業です。
「ジェンダー」とは生理学的な性差(セックス)ではなく、文化的、社会的、政治的、かつ心理学的な性差の構造のことで、一般にいう「男らしさ」「女らしさ」などの事です。
この本は、広く流布しているアメリカ製アニメのプリンセス物語(「白雪姫」「シンデレラ」「眠り姫」)を取り上げ、女子大生にジェンダーを講義するという体裁になっています。
アニメの昔話では「美しくて可愛い王女は、自分を助けてくれる素敵な王子が現れるのを、ただひたすら待っている」という展開になっていて、このような物語を好んできた女性は、「自分の人生を自分で切り開くようになっていない」と人生に対する受動性が指摘されます。
私がショックだったのは、女子学生が自分の十年後、二十年後等のライフプランを作成すると、結婚以降は空白になってしまう、という指摘です。
私が勤務する会社は福利厚生等整っていますが、それでも事務職女性の最初の手取りは十二万円前後です。会社の独身女性にこれからのライフプランを尋ねてみると「不況だから結婚相手の給与によっては働くかな」というのが多く、「自分で収入を得る為に働くこと」に関してはパートナーとの「出会い」次第で、「自分はこういうライフプランだから、相手にそれを分かってもらいたい」という女性は少数派のようです。それが相手の収入との多寡の為であるのなら、残念に感じます。
自分の人生の見通しを立てることは、私にとって育児や親族の介護を引き受けることの障害にはなりませんでした。自己を大切に出来る時は、他者にも寛容になれるからです。
(熊本子どもの本の研究会 会員)